今回はNetflix限定配信の『隔たる世界の2人』を解説していきます。
29分と凄い短編なので忙しい方にもオススメできます。
2020年にミネアポリス近郊で発生した白人警官デレク・ショービンによるジョージ・フロイド氏を逮捕した際に殺してしまった殺人事件が発端でBLM運動が激化し、その影響下で制作され、NY出身のラッパー、ジョーイ・バッドアスがプロデュースし、主演を務めた短編SF映画となります。
今なお続く有色人種殺害を扱った本作は、2021年、第93回アカデミー賞最優秀短編映画賞を受賞しました。
この作品をより楽しく見て頂く為に、事件の内容や、ここ数年で話題になったBLM運動とは何かを、解説していきますね。
ジョージ・フロイド氏殺人事件とはどんな事件なの?
2020年にミネアポリス近郊で発生したデレク・ショービン氏という白人警官がジョージ・フロイド氏という黒人男性を逮捕した際に、フロイド氏の首にほぼ8分間ひざまずいた事により、頸部圧迫による窒息によりフロイド氏が死亡した事件があり、で、翌日ショービン氏は警察を解雇され、後に第2級謀殺殺人、第3級謀殺殺人、および第2級故殺殺人罪で起訴されました。
以下年齢制限がありますので、当時の事件の詳細動画(死亡時の状況も映っていますので閲覧注意)を貼っておきますね。
また、アメリカにおける報道や文学、音楽などの分野でその年の優れた功績に対して贈られるピューリッツァー賞(Pulitzer Prize)の2021年の授賞者の中に、特別賞として若干18歳の少女が受賞したのですが、この少女は、殺害事件の現場に偶然居合せ、警察による暴力の一部始終をスマートフォンで撮影しました。
その彼女が記録した9分29秒におよぶ動画はSNSなどで瞬く間に拡散され、その後世界中に拡がることになるBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)(通称BLM)を掲げた人種差別に反対する抗議運動が発生するきっかけとなりました。
受賞理由は
「彼女が勇気を持ってジョージ・フロイド氏の殺人事件を記録した動画は、警察の残虐行為に対する抗議運動を世界中で引き起こし、ジャーナリストが真実と正義を探究する上で市民が果たす重要な役割を浮き彫りにしました」との事。
Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)(通称BLM)とは?
Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター、通称BLM)とは、アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動のことを言います。
実際、BLM運動のきっかけは2012年2月に米・フロリダ州で起きたある事件だと言われているそうです。
実際これをどう訳すのかも議論があり、
訳し方の例
・黒人の命は大事だ
・黒人の命も大事だ
・黒人の命だって大事だ
・黒人の命を尊重しろ
・黒人の命を粗末にするな
だったり、All Lives Matter(人種に関わらず、すべての命が大切)なのでは?
という議論もあります。
個人的にはAll Lives Matterは当然そうではあるけど、事実としてこれまで黒人の方たちの命が軽んじられてきた為に、こういう運動が起こっているという事なので、All Lives Matterはまた論点が違ってくるような気がします。
『隔たる世界の2人』の作品情報
前置きが長くなりましたが、本題に参りましょう。
むしろこの作品は先ほど説明しました前置きが凄く大事な作品となっております。
【公開】
2020年(アメリカ映画)
【原作】
TWO DISTANT STRANGERS
【監督】
トレイヴォン・フリー、マーティン・デズモンド・ロー
【キャスト】
ジョーイ・バッドアス、アンドリュー・ハワード、ザリア
【作品概要】
NY出身のラッパー、ジョーイ・バッドアスがプロデュースし、主演を務めた短編SF映画。
監督・脚本をコメディ・セントラルでライターを務めていたトレイヴォン・フリーが手掛け、コービー・ブライアントのドキュメンタリー映画、原題:『Kobe Bryant’s Muse』(2015)を手掛けたマーティン・デズモンド・ローが共同監督を務めた本作は、2021年アカデミー短編映画賞を受賞しました。
『隔たる世界の2人』のあらすじ
ニューヨークで黒人グラフィックデザイナーのカーター・ジェームズは愛犬ジーターに餌を与えるために恋人のペリーのアパートから自宅へ帰ろうとするが、通りで白人のニューヨーク市警のメルク巡査と遭遇したことをきっかけにタイムループに閉じ込められてしまう。
最初の出会いでメルクはカーターが吸っている煙草の匂いがおかしいと主張して所持品検査を強行し、彼は抵抗したために2014年のエリック・ガーナ―や2020年5月のジョージ・フロイドのように窒息死に追いやられ、次の瞬間にはペリーのベッドで目が覚める時間まで戻る。
ループを繰り返すカーターはアパートから出ないことにするが、すると今度は部屋番号を誤解した機動隊によって射殺されてしまう。
『隔たる世界の2人』の感想
ネタバレは極力控えますが、タイムループものでこんなに辛く理不尽な作品はないなとおもいました。
わずか29分とかなり短い作品なのに、内容も濃かったです。
それなのに無理やり詰め込んだ感じもなく、伝えたい事も非常にわかりやすい作品となりました。
殺人はもちろんの事、理不尽に殺されるというのはもっとあってはならない事なのに、実際に黒人の方は当たり前のように殺されていく実情がある。
話せばわかるとは簡単に言いますが、人種差別はそんな簡単な話ではありませんでした。
人種差別というものをわかっていたつもりでしたが、全然わかっていなかった。
話は凄くシンプルなのですが、伝えたい事が凄く伝わる作品でした。
Netflix限定作品ですので、興味を持って頂けたら是非見てくださいね。
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