カンヌで14分のスタンディングオベーション!『竜とそばかすの姫』を解説

映画

細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」が先月の7月16日に公開されましたが、翌週ぐらいに観に行きまして記事にしたかったのですが、少し遅くなりましたが解説していきたいと思います。

本作品はまさに集大成といった感じで今までの作品の雰囲気を匂わせる箇所がいくつも散りばめられており、細田守作品好きなファンはもちろんの事、初めて観た方も映像と曲に圧倒される方が多いと思う作品になっています。

自分は細田守監督作品は凄い好きで、2006年公開の『時をかける少女』以降全ての作品を観てきました。

その中でも『サマーウォーズ』は一番好きで、細田守作品以外のアニメの中でもかなり上位に好きな作品でもあります。

ちなみに初めてブルーレイの初回限定盤を購入したのが『サマーウォーズ』なのでそれぐらい好きです。

ちなみに好きすぎて漫画やスピンオフ作品も買ってしまったぐらいです。

漫画は全3巻です。

スピンオフでは、本編でも人気だった一馬君が主役の話です。

一馬君も人気のキャラクターですので読んでない方は是非読んで見てはどうでしょうか?

全2巻です。

また、漫画の絵を担当(スピンオフは別)している杉基イクラさんをサマーウォーズきっかけで好きになりまして、『ナナマル サンバツ』という高校の競技クイズを題材にした漫画も連載していたので読みました。

全20巻で完結してますし、面白いのでオススメです。

話は逸れましたが、なぜこれだけサマーウォーズを推したかと言うと、今作の『竜とそばかすの姫』を観る前に少なくともサマーウォーズを観た方がより楽しめると思ったからです。

その辺も踏まえて解説していきますね。

『竜とそばかすの姫』作品情報及び予告

原題:竜とそばかすの姫公式HP
製作年:2021年
製作国:日本
日本公開日:2021年7月16日
上映時間:121分
監督:細田 守
出演(声):中村佳穂、成田凌、幾田りら、染谷将太、玉城ティナ、佐藤健ほか

『竜とそばかすの姫』予告1【2021年7月16日(金)公開】

『竜とそばかすの姫』予告2【2021年7月16日(金)公開】

『竜とそばかすの姫』あらすじ

高知県の田舎町に住む女子高生・すず(声:中村佳穂)は幼い頃に母を事故で亡くして以来、大好きだった歌を歌えなくなり、父との関係にも徐々に溝が生まれていた。

作曲だけが生き甲斐となっていたすずは、ある日全世界で50億人以上が集う超巨大インターネット空間の仮想世界〈U〉ベルという名前の〈As〉(アバター)で参加する。

仮想世界 〈U〉 では自然と歌えたすず(ベル)は、自ら作った歌を披露していくうちに歌姫として世界中から注目を集め、遂にはコンサートが開かれるが、コンサート当日、突然謎の竜が現れて、コンサートは台無しになってしまう。

だが、ベルはそんな竜が抱える大きな傷の秘密を知ろうと接近し、竜もまたベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。

そんな中、世界では「竜の正体探し」が動き出す。

『竜とそばかすの姫』みどころは?

映像と音楽が過去最高傑作

自分はIMAXで観たのですが、何といっても映像と音楽が過去最高傑作で素晴らしかったです。

今回は過去作に比べて音楽に焦点を当てた作品なので音楽が良いのは当然と言えば当然なのかもしれませんが、映像が今までの作品よりも倍どころか数倍以上綺麗でかなり凄かったです!

サマーウォーズの仮想世界も当時かなり凄かった印象を覚えていますが、正直比じゃなかったので衝撃を受けました。

また、音楽に関しては、King Gnuの常田 大さん率いる音楽集団のmillennium paradeが主題歌や挿入歌等手掛けています。

millennium paradeは曲によってボーカルが変わるのですが、今回の主題歌や挿入歌はすず(ベル)役の中村佳穂さんがボーカルを担当しております。

millennium parade – U

この曲が冒頭で使われて一気に作品の世界に引き込まれました。

音楽が世界を救うといったアニメはありますが、実際に使われる曲がそこまでリアリティがないというパターンは良くあると思うのですが、この曲はとても作品にあっていると思いますし、 ベルの声を担当する中村佳穂さんの歌声は人を惹き付ける何かがあると思いました。

ちなみに僕は邦楽を全くと言っていい程聴かないですし、ほとんど洋楽ばかり聴いてる自分でも心にグッとくる何かがありました。

また、ヒロ役の幾田りらさんはYOASOBIのメンバーですし、ペギースー役のermhoiさんは、millennium paradeのメンバーですので、本作品の声優さんはミュージシャンを多く採用しているのも特徴です。

キャラデザインや仮想世界の建築物が秀逸

映像にこだわっているのは凄い伝わってきたので調べてみると、仮想世界はCGを使い現代の世界は手書きにしてリアルと仮想世界を分けている所がこだわっている部分であり、仮想世界のアバターのキャラクターデザインもそれぞれ違う人がデザインしていたりします。

アバターのデザイナーを変える事で、統一感をあえてなくす事でより仮想世界にあたかも入り込んだような錯覚が得られるのではないかと思います。

ベルのキャラデザは、『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ベイマックス』など数多くのキャラクターデザインを手掛けるジン・キムさんという方が手掛けており、今までにない細田作品のキャラクターで凄く美しい歌姫となっています。

言われてみればたしかにディズニーっぽいヒロインのビジュアル感出てますよね。

また、仮想世界 〈U〉 のコンセプトアートを、ロンドン在住の新進気鋭のイギリス人建築家/デザイナーであるエリック・ウォンさんが担当しており、仮想世界の細部までいきわたった建築物が近未来感を感じさせる作りとなっています。

サマーウォーズと似ている?

仮想世界は冒頭でもお話しました『サマーウォーズ』も【OZ(オズ)】と呼ばれる仮想世界が現実世界のインフラと密接した関係になっているのですが、本作も同様に仮想世界と現実世界がかなり密接になっています。

本作の竜とそばかすの姫に出てきます仮想世界 〈U〉 にいるアバターと呼ばれるアカウント数は何と50億になります。

裏アカと呼ばれる重複したアカウントは持つことが出来ない為、ほぼ世界中の人がアカウントを持っている事になるので現実世界と切っては切れない関係にまでなっています。

なので、いきなりバーチャルの世界を見せられて頭が混乱するよりは、サマーウォーズで1つ段階を踏んで観て頂くと、非常に世界観が理解出来るのではないかと思います。

『美女と野獣』に似ている?

この作品を観てディズニーの名作『美女と野獣』にそっくり(パクリ?)という声もちらほら聞こえてくるのですが、それは少し事前情報を知っていないからだと思います。

2021年7月6日に行われた完成報告会見で、細田守監督が本作の発想の原点である物語として言及したのがまさに『美女と野獣』なのです。

主人公のすずは仮想世界で自分の名前を英語にした『ベル(bell)』というアバターを作りましたが、洋題にもなっている『belle』というのは最後にEをつけるとフランス語で「美しい」という意味を持つ事になり、作中の仮想世界<U>に出てくる竜は“BEAST”つまり野獣を表しています。

インターネットの世界で『美女と野獣』の世界を描いてみたかったとの事ですが、事前情報を知らない人から見ればそっくりという声も致し方ないぐらい似ていました。

ジブリでも『ハウルの動く城』や『紅の豚』もある意味『美女と野獣』だと思うのですが、これだけ言われているという事は、あまりにも寄せすぎたのかなという印象を受けます。

カンヌで14分のスタンディングオベーション

海外の評価はどんな評価を受けたかと言いますと、第74回カンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクション「カンヌ・プルミエール」部門に日本映画として唯一選出されており、ワールドプレミア上映されました。

ワールドプレミアでの上映後は、1階席のみならず2階席含め場内の観客はスタンディングオベーションで細田監督を称え、その時間はなんと14分間

14分間は正直想像できない長さですよね。

最初は細田監督も感無量の様子で関係者らと握手したりハグをかわすなど喜びを表現し、会場の全ての人々に手を振り深々とお辞儀をしていたそうなのですが、それでも14分間の時間は長かったようで、監督自身も途中から何をしていいかわからなくなったと、のちのテレビ番組で述べていました。

しかも、14分間はもっと伸びていた可能性もあったようです。

というのも、見かねた司会者の方が細田監督にマイクを渡し、コメントを求めた事で、拍手が鳴りやんだようです。

実際にテレビ番組で、お笑い芸人のテンダラーの浜本さんにスタンディングオベーションで迎えた所、30秒ぐらいでギブアップしていました(笑)

比較には出来ないかもしれませんが、実際こういう場でスタンディングオベーションを受けても周りの関係者らと喜びを分かち合ったり、会場の人に手を振ったとしても5分ももたないのではないでしょうか。

それぐらい国際的な評価が高かったという事でしょう。

カンヌでは、’’ベルの歌を口ずさみながら、劇場を出る人も多かった’’そうで、中村さんの歌は言語の壁を超えたのではないかと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか?

僕自身かなり細田作品が好きという事はわかって頂けたかもしれませんが、正直サマーウォーズ以降の細田作品は面白いんですが、リピートはもういいかなってレベルだったのですが、本作の『竜とそばかすの姫』は久しぶりの個人的大ヒットでした。

あまり言いすぎるとネタバレになるので控えますが、たしかにあまり多くは語られていない部分があったのでストーリーに関しては今一つ感は否めないかもしれませんが、それをカバーする程の映像と音楽が圧倒的だったので、そこまでは気になりませんでした。

これでストーリーも完璧だったらまさに神作と成り得たかもしれませんが。

レンタルされてからでも十分楽しめる作品ですが、本作は映像と音楽にフルベットしたような作品ですので、是非とも映画館(出来ればIMAX)で視聴してみてはいかがでしょうか。

他にもオススメの映画をご紹介してますのでよければ参考にして頂ければ嬉しいです!

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以上最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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