Netflixオリジナルの『ザ・ホワイトタイガー』を先日観てなかなか面白かったので、極力ネタバレ抜きで解説していきます。
こちらはインドのアラビンド・アディガという方のベストセラーになった小説が原作となっているのですが、日本でも『グローバリズム出づる処の殺人者より』というタイトルで出版されています。
こちらの原作はブッカー賞というイギリスの文学賞を受賞しており、世界的に権威のある文学賞の1つとも言われていますので、日本で言う直木賞や芥川賞に相当しますのでかなりの話題作だった事が言えます。
また、以前ご紹介した記事で『スケーターガール』というインドのカースト制度が未だ色濃いインドの田舎の少女が、スケートボードに出会い逆境に立ち向かい、成長していく感動ストーリーをご紹介しましたが、こちらも同じインドが舞台ですが、本作品はカースト底辺からの成り上りを題材にした映画となっています。
『ザ・ホワイトタイガー』作品情報
主人公のバルラームを演じるアダーシュ・ゴーラブ氏はインドの若手俳優でそこまで目立った経歴の持ち主ではありませんが、今回の映画「ザ・ホワイトタイガー」のオーディションに誘われ、「主人公バルラームのイメージにピッタリ!」と絶賛されて抜擢されたそうです。
この作品の中で一番の人気俳優なのは何と言ってもバルラームが仕える主人の奥さん役であるピンキー演じるプリヤンカ・チョープラーさんでしょう。
Embed from Getty Imagesプリヤンカ嬢は2000年のミスワールドに選ばれた事もあり、ニューヨークのタイム誌では世界で最も影響力のある100人の1人にも選ばれ、アメリカのビジネス雑誌のフォーブス誌では世界で最もパワフルな100人の女性の1人にも選ばれています。
また、私生活ではアメリカのポップロックバンドのジョナス・ブラザーズのニック・ジョナスと結婚し話題になりました。
役もアメリカ生まれのインド系女性を演じていますが、カーストの古い風習に異を唱えたりと振る舞いや演技がピッタリはまっていますので要注目です。
『ザ・ホワイトタイガー』あらすじ
これはカースト下層階級の貧しい青年が、のちに起業家として成り上る物語である。
主人公のバルラーム( アダーシュ・ゴーラブ )は、幼い頃から高学歴の子が集まるデリーの学校へ行く為の奨学金を提供されるぐらい優秀の『ホワイトタイガー』つまり一世紀に一度だけ生まれた人だと言われていました。
しかし、父が村の家主であるストークに地代を返済できず、バルラームは祖母から村の茶屋で働くことを余儀なくされ、学校に戻ることはありませんでした。
そして、バルラームの父は結核にかかり治療するお金も捻出できず亡くなってしまいます。
青年になったバルラームは、何とか貧しい暮らしを脱却しようと、ストークの息子でアメリカ帰りのエリートのアショーク(ラージクマールラオ )の運転手になる事を目指します。
祖母に運転手になった時の給与の一部を渡す事を条件に、免許取得の費用を捻出してもらいます。
持ち前の話術を活かし、何とか2番目の運転手として雇われる事になったバルラームですが、裏切れば家族全員がストーク一家に殺されるという脅迫によってどんな面倒な仕事でも忠実に仕事をこなします。
アショークと妻のピンキーがアメリカからインドに帰ってきた理由は、デリーに引っ越し、企業する為です。
デリーで彼らの為の運転手になりたいバルラームは天性のズル賢さを発揮し、見事にアショーク専属の運転手になるのだった・・・
『ザ・ホワイトタイガー』みどころは?
ストーリーは「起業家として成功した後の主人公のバルラームが、インド版シリコンバレーと呼ばれているIT都市バンガロール訪問を控えた中国の当時の首相、温家宝に宛てて書いているメール」という体裁で物語は進んでいきますので、主人公のバルラームは成り上りを達成したのは確定した状態で話は進んでいきます。
カースト制度は1950年に撤廃されましたが、それでも現代で未だ色濃く階級制度が残っているという事実をブラックユーモアたっぷりに描かれた貧困層と富裕層のリアルな姿。
インドの実情をリアルに描いたからこそベストセラーにまでなった理由がこの作品を観ればわかるような気がします。
あまり言うとネタバレになるので控えますが、ここまでしないと貧困からは抜け出せないのかとなかなかの衝撃を受けました。
これは単純に日本の貧困層からの脱却とは全然訳が違いますので、やはりカースト制度の呪縛は恐ろしいなと感じさせます。
『ザ・ホワイトタイガー』海外の評価は?
映画評論サイトで最も信頼されるサイトとして名高いRotten Tomatoes(ロッテントマト)ではどういう評価がされているのか見てみましょう。
批評家の評価は91%とCertified Fresh(新鮮保証)を受けており、Audience Score(観客の評価)も80%と比較的高評価を得ています。
また、この作品はアカデミー賞の脚色賞にもノミネートされたり等様々な賞にノミネートや受賞もしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
インドのシリコンバレーとも呼ばれるIT都市のバンガロールもあり、近年物凄く発展してきており、物価も日本とほぼ変わらないか、物によっては高いものもあります。
しかし、貧困層のエリアは日本の比ではなく、貧困格差のリアルを教えてくれる作品となっております。
社会風刺系の映画が好きな方には是非観て頂きたい作品となっておりますし、ラストはなかなか考えさせられるシーンで終わりますので、最後まで目が離せません!
以上最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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