黒人差別を描く米史上最大の暴動を映画化!『デトロイト』感想と解説

映画

本作は1967年に米史上最大の暴動に発展したデトロイト暴動の最中に発生したアルジェ・モーテル事件を題材にした作品で、今なお続くBLM運動にも繋がる内容を実話映画化にした作品をご紹介します♪

​「デトロイト」  2018年7月4日Blu-ray&DVDリリース!

『デトロイト』作品情報

原題:Detroit
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開日:2018年1月26日
上映時間:143分
監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジョン・ボイエガ、 ウィル・ポールター、ジョン・クラシンスキー、ジャック・レイナーほか

監督はアカデミー賞史上初の女性監督受賞者であるキャスリン・ビグローです。
ビンラディン殺害作戦を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』などが代表作です。

『ゼロ・ダーク・サーティ』の記事も書いているので良ければご覧ください。

ゼロダークサーティ【映画】パランティアも貢献したビンラディン殺害作戦

『デトロイト』あらすじ

1967年7月23日、アフリカ系の退役軍人の功績を讃える式典がデトロイトで催されていた。

市民の注目がその式典に向いている隙を突いて、デトロイト市警察は営業許可時間外に違法営業している「ブラインド・ピッグ」と呼ばれる地下バーを摘発を行った。

通常は数人のオーナーや客を逮捕し警告する程度ですが、この日はなんと85人

酒場の経営者が逮捕されたとの一報を受けて、摘発現場にいた人々が警官隊に石を投げ始める。
こうして始まった暴動はどんどん規模を拡大し、ついには食料品店の略奪や銃撃戦が発生するに至った。
後の世にいう12番街暴動の始まりであった。

デトロイト市当局と市警察では到底対処できない規模の暴動であったため、州知事のジョージ・ロムニーはミシガン州兵の現地派遣を決断した。


暴動発生から2日目の夜。

地元デトロイトの黒人によって結成されたバンド、『ザ・ドラマティックス』がデトロイトを訪れていた。

しかし、音楽堂でのライブ・パフォーマンスが行われる直前に、警察が音楽堂のある通りを封鎖し、バンドメンバーにデトロイトから退去するように命じられる。

不本意ではあったが、彼らは警察の命令に従い、彼らはバスでデトロイトを離れようとしたが、道中、暴徒化した市民にバスが襲撃されて、メンバーは離れ離れになってしまう。

ボーカルのラリー・リードとその友人であるフレッド・テンプルアルジェ・モーテルで取りあえず様子を見ることに。

2人はプールサイドにいたジュリーカレンという白人女性に声をかけ、友達がいるという別館の部屋に誘われて行くと、そこにはカール・クーパーら数人の男がいた。

このカール・クーパーがおふざけで外にいた州兵や警官隊が集結しているのを見て、窓の所でスターターピストルを数発鳴らした事をきっかけに、フィリップ・クラウス率いる何人かの警官が捜査手順を無視して、モーテルの宿泊客たちに不当な強制尋問を始める。

この尋問で、誰彼構わず脅迫し自白を強要する「死のゲーム」が展開されていく・・・。

こうして黒人3人が死亡し、白人3人と黒人6人が重傷を負ったアルジェ・モーテル事件はかくして始まってしまったのである。

『デトロイト』海外の評価は?

映画評論サイトで最も信頼されるサイトとして名高いRotten Tomatoes(ロッテントマト)ではどういう評価がされているのか見てみましょう。

出典:Detroit 【Rotten Tomatoes】

批評家の評価は82%とCertified Fresh(新鮮保証)を受けており、Audience Score(観客の評価)も79%と比較的高評価を得ています。

『デトロイト』みどころは?

警官のフィリップ・クラウス役のウィル・ポールター

この作品は事の発端は、スターターピストルで驚かせた事により無慈悲な事件に発展していくのですが、だからと言って不当な捜査や無実な人に対して理不尽な尋問をする警官は絶対にあってはなりません。
その理不尽な警官の首謀者であるフィリップ・クラウス役のウィル・ポールター(出演作品:『メイズ・ランナー』や『レヴェナント: 蘇えりし者』)が本当に憎たらしいほど差別主義者で、観ててかなり腹が立ちます。(彼自身はきっと良い人だと思うのですが。)

彼もこの役柄は『自分の役に嫌悪感を感じる部分もあった』と言う程に心を鬼にして熱演しています。

また、当時はそこまで黒人警官がいない中、時には黒人市民からも非国民扱いを受けてきたであろう黒人警官であるメルヴィン・ディスミュークス役のジョン・ボイエガ(出演作品:『スター・ウォーズ』や『パシフィック・リム:アップライジング』)も警官と被害者の間に立たされる複雑な役を熱演しております。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

以前ご紹介した作品『隔たる世界の2人』も、2020年にミネアポリス近郊で発生した白人警官デレク・ショービンによるジョージ・フロイド氏を逮捕した際に殺してしまった殺人事件が発端でBLM運動が激化し、その影響下で制作された作品ですが、こちらは更に昔のBLMという言葉がまだなかった時代の作品です。

白人警官のデレク・ショービン氏は有罪判決を受けましたが、理不尽警官のフィリップ・クラウス氏含め3人の警官は暴行、第一級殺人、共謀、職権乱用の罪で起訴されますが、全て無罪判決が下されます。

無罪判決と関係ないのかもしれませんが、黒人差別は今もかなり激化しており、未だ根強く、当時はインターネットも普及されていない今とは比べものにならないぐらい黒人差別が酷かったと思うので、現在なら有罪になってたのでは?と感じさせます。

映画自体は『良かった』と言ってはいけないような気はしますが、監督のキャスリン・ビグロー氏は、他の作品にも言える事ですが、出来事をそのまま多角的にみせるのが本当に上手いです。

尋問シーンは、実際にその場にいるような感じにさえ思ってしまいます。

また、本作品はデトロイト暴動の発生から50年を迎える節目の年に公開されたというのも強いメッセージ性を感じさせます。

『なぜAll Lives MatterではなくBlack Lives Matterなのか。』

その理由はこの映画を観れば少しわかるような気がします。
ショッキングな内容ではありますが、知るべき内容の1つであると思います。

以上最後までご覧いただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました