巷でコロナにはイベルメクチンが有効という噂がちらほら聞こえてきており、本当に効くのかどうか、承認していないのは根拠となるデータがないのではないか等、様々な情報が飛び交っております。
そこで、少しでも不安が解消出来ればいいなと思い、一通りまとめてみようと思います。
個人の見解も含みますが、ワクチン接種もイベルメクチンもあくまで自己責任で判断して頂ければと思いますのでそのあたりはご理解ください。
イベルメクチンとはそもそも何?
そもそもイベルメクチンとは何?という方に向けて説明しますと、北里大学の大村 智特別栄誉教授により開発された経口駆虫薬(寄生虫を殺すか対外に排出する薬)です。
もともとは1981年に動物薬として販売され、日本では犬のフィラリア症(犬糸状虫症)の予防と駆除に効果が示され、現在では使用前の時代に比べて犬の寿命が2倍に延びたようです。
動物薬として使用されている間に人のオンコセルカ症(河川盲目症)に対しても極めて有効なことが明らかになりました。
オンコセルカ症とは、皮膚のかゆみ、発疹、浮腫や腫瘤などの症状を起こし、ひどい場合は角膜炎から失明に至ります。
WHOが報告した内容では、アフリカ(サハラ砂漠以南)や中南米などの熱帯地域36カ国の感染地域に2億50万人の人が住んでおり、1987年には感染者数2千90万人、失明者は115万人に達するとされていました。
オンコセルカ症(河川盲目症)は、河川域で繁殖するブヨ(ハエの一種)によって媒介された回旋糸状虫が原因である為、殺虫剤を散布し、ブヨの駆除にあたるも思った効果が出ませんでした。
そのような状況の中でイベルメクチンが登場し、1987年からアメリカのメルク社と北里研究所からの無償提供が始まり、オンコセルカ症撲滅プログラムが開始されます。
これにより、コロンビア、エクアドル、グアテマラ、メキシコのオンコセルカ症は撲滅された事をWHOも承認しております。
オンコセルカ症のほかにも、蚊によって媒介され、リンパ浮腫と象皮症を主徴とするリンパ系フィラリア症に対してもイベルメクチンは有効とされています。
感染地域はアフリカ・中南米・アジアなど広範囲にわたり、蔓延地域には13億人以上の人々が住んでおり、2000年の感染者は1億2千万人に達し、感染地域を持つ国は83か国に及びんでいた事から、アフリカでは同年より、WHO主導で撲滅プログラムが開始されております。
現在はアフリカのトーゴ及びイエメンにおいて撲滅が完了し、着々と撲滅プログラムの効果が進んできております。
そうした世界中の人々を救った功績が称えられ、2015年に大村教授はノーベル生理学・医学賞を受賞しております。
イベルメクチンはコロナに効くというのは本当なのか?
イベルメクチンの本来の目的は寄生虫を駆除する為に作られた薬という事はおわかり頂けたかと思いますが、ではなぜイベルメクチンがコロナに効くという噂が広まってしまったのでしょうか。
コロナ治療を目的として使用された国や地域がありますので、ご紹介します。
インドの首都デリーでイベルメクチン投与開始後90%以上減少し、採用した州は軒並み減少したという結果に
上記2つの画像はインドの首都デリーでの現在までの感染者の推移なのですが、4月20日にイベルメクチンを投与された時点では28,395人の感染者がいたのですが、1カ月後の5月20日には3,231人と急激に下落しているのがわかります。
直近の8月23日のデリーの新規感染者は17人ですからいかに現象していったのかが見てわかります。
4月20日にイベルメクチンを接種し始めたという情報元はThe Desert Reviewというサイトです。
CNPA(カリフォルニア新聞出版者協会)から賞を受賞した事がありますので、情報としては高い確率で正確なのではないでしょうか。
インドでもイベルメクチンを接種している州としていない州があるのですが、 The Desert Reviewの記事に記載している内容をまとめると以下になります。
デリーはイベルメクチン投与と同時期にロックダウンがされていたり、既に集団免疫を獲得していたのでは?という声もあります。
科学的根拠がたとえなかったとしても、接種に踏み切った州は全て減少に転じ、接種を非合法としたタミル・ナードゥ州は3倍に膨れ上がったというのは果たして偶然なのでしょうか?
現在のタミル・ナードゥ州はピークアウトし、減少していますが、少なくともロックダウンが機能したという主張があるとすれば、 タミル・ナードゥ州もロックダウンをしていた州ですので、3倍以上に増加したのは少し矛盾が生じる気がします。
イスラエルの二重盲検試験で、イベルメクチンがコロナ患者を迅速に回復させ、感染性を低下させることが明らかとなった
イスラエルのエルサレムポストでは、同国で行われたダブル・ブラインド・テスト(二重盲検試験)を実施した結果、1981年以来広く使用されている安価な抗寄生虫薬であるイベルメクチンがCovid-19の感染持続期間と感染力の両方を低下させると結論付けたと報じています。
シェバ医療センターの旅行医学熱帯病センターの創設者のSchwartz教授によって行われた調査なのですが、18歳以上のコロナウイルスの陽性と判定されていたボランティアを2つのグループに分け、片方はイベルメクチンを投与され、もう片方はプラセボ(偽薬)を投与しました。
投与終了後3日目にあたる6日目までに、ウイルス量が減少しているかどうかを評価することを目的に、PCR検査を行いました。
その結果、イベルメクチンを投与したグループの72%近くが、6日目までにウイルスが陰性となったが、プラセボを投与されたグループは50%しか陰性になりませんでした。
さらに、患者の感染力を示す培養生存率を調べたところ、6日後に感染していたのはイベルメクチンを投与したグループはわずか13%だったのに対し、プラセボを投与したグループは50%と、約4倍の感染力がありました。
Schwartz教授は、『今回の研究では、何よりもまずイベルメクチンに抗ウイルス作用があることがわかりました。また、4~6日後にほぼ100%の確率で感染しないこともわかりました。これは、経済的にも社会的にも大きな影響を与える可能性があります。』と述べています。
経済的にというのは、イベルメクチンは非常に安価で供給が可能な薬で、バングラデシュでは5日間のコースで約0.6ドル~1.8ドルで抑えられ、調査を実施したイスラエルでも1日最大10ドルで済むとの事です。
世界の 30%でイベルメクチンが新型コロナウイルス感染症治療に使われている
上記の世界地図は色分けされていますが、世界の30%のエリア・人口で言うと23%がイベルメクチンが使用されている事を表す地図になっています。(2021年8月25日現在)
最も濃い緑が、国全体で使用されており、薄い緑は一部地域で使われている、あるいは他の治療と併用されている国になります。
マップを見ると中南米で多く採用されていますが、ヨーロッパで正式に全体で採用されているのはブルガリアとチェコだけのようです。
また、北米で採用されている国はなく、日本を含む東アジアでも、カンボジア以外は国全体で使用されている国はありません。
日本が薄い緑となっている理由は、おそらく個人の医師等が患者了承のもと使用されている方がいるのではないかと推測します。
63の臨床研究結果で、イベルメクチンの驚異的な治療・予防効果が判明
こちらは、イベルメクチンのメタ分析の論文の一部なのですが、上からAll studies(全ての研究結果)の数が63もあり、Prophylaxis(予防)が86%、Early treatment(早期治療)が72%、Late treatment(後期治療)が40%という結果になりました。
Peer-reviewed(査読済み論文)やRandomized Controlled Trials(ランダム化比較試験)の結果もそこまで変わらない結果となっています。
この研究結果を見る限りでは、予防や早期治療にはかなり効果があるのではないでしょうか。
治療段階別の結果を見ても、イベルメクチンは早期でも後期でもコロナ治療には効果があり、予防に関しては非常に高い効果を示したということがこの分析でわかったというものです。
イベルメクチンの副作用は?
これまでの内容から、イベルメクチンはかなり効果があるのではと思いますが、実際にイベルメクチンの副作用はどのような症状が見られるのか見ていきましょう。
コロナウイルスでの安全性はまだ分かっていないと言われていますので、とりあえず従来の使い方であるオンコセルカ症等が発症した場合の条件として書いていきます。
上記のような副作用になる可能性があるようですが、30年以上使用されている薬ですので安全性に関しては高いと言っていいのではないのでしょうか。
また、用法・用量については以下を推奨しています。
となると、AIIMS(全インド医科大学)は体重1kgあたり0.2mgのイベルメクチンを3日間投与していますので、1回あたりの使用は守っていますが、3日間投与は従来の使い方ではないという事がわかります。
WHOや米食品医薬品局(FDA)はイベルメクチンを推奨していない
これまでの内容を見るとイベルメクチンを使用すると感染者が減少してるのは間違いないように思いますが、WHOと米食品医薬品局(FDA)を含めた専門科はイベルメクチンを推奨していません。
WHOは、イベルメクチンを臨床試験(治験)以外の状況で患者に使うべきでないとする指針を発表。
同薬が致死率や入院、体内からのウイルス除去にもたらす効果については「証拠が非常に不確実」だと指摘し、治験以外では『症状の度合いや期間にかかわらず、いかなる患者にも使用すべきではない』としております。
その理由として、患者2400人を対象に、イベルメクチンをプラセボ(偽薬)や他の医薬品と比較したランダム化比較試験16件を調査しました。
その結果、『現在、イベルメクチンのCOVID-19に対する作用機序に関する説得力あるエビデンスが欠けており、観察された臨床的有用性は説明できない』と結論した。
米食品医薬品局(FDA)はどうやら動物用のイベルメクチンを人に大量摂取するのは危険で死に至る可能性があるので絶対にやめてと警鐘を鳴らしているようです。
実際に動物用のイベルメクチンを投与して運ばれるというケースが発生しているそうで、コロナで発生した死者数を見ると、一部の消費者がFDAによって承認または承認されていない、型にはまらない治療法を検討する気持ちはわかりますけどやめて下さいと述べているようですね。(FDA HPより)
動物用のイベルメクチンは牛、馬用に作られたものが多い為、人用のイベルメクチンよりも高濃度の成分が入っている事が多い為、人に接種するのは危険が伴うそうです。
FDAに関してはかなりごもっともな意見ですが、WHOはちょっと疑問が残りますね。
論文として説得力のないものもあるのは事実だとは思いますが、63もの研究結果が出ており、ランダム化比較試験(ランダムに選び、客観的に評価する試験)でも予防効果は全ての研究結果と同等レベルの効果が見られているのに説得力がないとコメントするのはどうなのかなと。
おそらくこの63もの論文の全てとは言わないですが、プレプリントのものがあったり中身が乏しいのもあるのでしょうからWHOも今はそう判断してるとは思いますが、先進国からの研究結果が出ていないからという理由もあるのでしょうか?(都市伝説好きなんです。すいません)
日本もイベルメクチンのコロナ治験を開始
日本で開発された薬なのに遅すぎるといった話はあるかもしれませんが、ようやく?日本でもイベルメクチンのコロナ治験が開始される事が発表されました。
ノーベル賞を受賞した大村教授率いる北里大学では花木秀明教授が中心となり、2020年9月から医師主導の治験を行ってきてはいましたが、感染拡大により、治験よりも治療を優先せざるを得なく、あまり思うように進んではいませんでした。
しかし、製薬会社の興和が引き受けてくれる事になり、現段階では、東京、大阪、名古屋などで陽性判明から3日以内程度の患者約1千人を対象に、薬か偽薬かを医師も患者も知らない「二重盲検」という方法で実施する予定との事です。
年内の治験終了をめざすとの事で、効果が実証され、承認されることになれば、同社が国内の製造も担う予定との事です。(朝日新聞)
2022/2/4追記
どうやらまだ試験レベルではありますが、興和がイベルメクチンについてオミクロン株に対しても、デルタ株などの既存の変異株と同等の抗ウイルス効果があることを確認したと発表したようです。
興和、「イベルメクチン」のオミクロン株への抗ウイルス効果を確認(ロイター)
まとめ
いかがだったでしょうか。
実際には効果のほどは判明していないとの事ですが、イベルメクチンを投与した方は因果関係は別として効果は出ているとみていいのではないでしょうか。
先日投稿した記事の米海軍トップのファーマン氏の論文にもイベルメクチンに関する論文を引用リストに加えていました。
ただし、イベルメクチンの個人輸入はくれぐれも注意が必要です。
ジェネリックも多数出回っており、比較的容易に手に入る薬ではありますが、偽物も出回っているようです。
僕なりの結論としましては、ワクチン接種済みの方でも感染する時はするので、不安であれば万が一に備えて購入だけしておく。
これに尽きるのかなと。
次々と発症する感染者の対応に迫られるが有効な治療薬もない。
ワクチンは間に合わない。
そういう差し迫ったときに、例え安全性が確認出来ていなかったとしても、イベルメクチンを接種して減少している地域や論文が真偽はどうであれあるのは事実なので、試してみようというのは至極当たり前の事だと思います。
もちろん一番良いのは医師と相談した上で自己責任で用法・用量を守って接種する。
医師すらも見つからなければ、通常の使い方である体重1kg当たり約200μgを1回(60kgなら12mg)投与する等して様子を見る。
そして妊婦、高齢者、子供は投与しないのが原則。
しかし、メリットがリスクを上回れば投与するのもやむなしかもしれません。
これらは推奨している訳ではありませんので、あくまでも自己責任で判断して下さいね。
どちらにしろ、早くコロナが終息して欲しいのは皆さんの共通認識ですから、このイベルメクチンがコロナを終息する治療薬となればいいですね。
以上最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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