今回はNetflix作品のカースト制度が未だ色濃いインドの田舎の少女が、スケートボードに出会い逆境に立ち向かい、成長していく感動ストーリーの『スケーターガール』が非常に良かったので解説していきますね。
この記事の結論
・インドの田舎は未だにカースト制度が色濃く、自由がない。
・製作陣はノンフィクション作品と主張しておりますが、同じインド出身の女性プロスケートボーダ―でスーパースターのAsha Gondさんが、自分の生い立ちとかなり類似していると主張しており、トラブルも?
・昔から決まってるルールや制限にとらわれず、チャレンジする事の大切さと素晴らしさを教えてくれる。
では早速解説していきますね。
「スケーターガール」作品情報
「スケーターガール」あらすじ
インドのラジャスタン州の人里離れた貧しい村で暮らす10代の少女プレルナは、両親と弟のアンクッシュの4人暮らしで、カースト制度の下層に位置していた。
プレルナは伝統と両親への義務に縛られた生活を送っており、父親の言いなりで自分の意見も言えない。
母は、生活の足しになればいいと働く事を提案するが、父はプライドや世間体を気にして家計が苦しいのにも関わらず働く事を許さなかった。
なので、プレルナは制服や教科書も買えないため学校にも通えず、家事をして暮らしていた。
ある日、弟アンクッシュの粗相がきっかけで、ロンドンから来たジェシカという女性と出会う。
彼女はこの村の出身である亡くなった父のルーツを訪ねて来ていたのだが、プレルナと出会い、思いがけもしないカースト制度の現状等に同情し、制服を買ってあげる事で、学校にも通えるように。
ジェシカは、貧しいながらも創意工夫を凝らし、スケートボードのようなおもちゃで遊んでいる子どもたちに感動する。そして、ジェシカの友人でインドで教師をしているエリックが、スケートボードを持って遊びに来る。たちまちスケートボードの世界に魅せられた子どもたちやプレルナもスケートボードの面白さにはまっていく。
しかし、子供たちはスケートボードに夢中になり学校をサボるようになり、学校や村長はスケートボード禁止にしてしまう。
ジェシカも、子供に学校をサボらせたいのではなく、夢と希望を与えたい為にスケートボードをプレゼントしたので、村の有力者の力を借り、村に正式なスケートボード場を作り、仲間を呼んで色々技を子どもたちに教え、そこで全国大会が開かれるまでになる。
しかし、プレルナは父親の大反対に会い、上位カーストの同級生との淡い恋も引き裂かれ、父が決めた結婚相手と結婚するか、全国スケートボード選手権に出場するという夢を実現するかの難しい選択を余儀なくされることに。
「スケーターガール」の見どころは?一部ネタバレあり
世界人口2位のインドのカースト制度は未だ色濃く描かれている
インドではカースト制度という身分によって階級を分ける、昔使われていた制度があるのですが、現在は法律上ではカースト制度は禁止されております。
階級は、バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラの順に身分が低くなってきており、本作品でも、最高位のバラモンとシュードラとでは生活様式も違いますし、接し方や、同じ井戸水を使えない等、未だ色濃くカースト制度で身分を区切られていると容易に判断できます。
学校でも表面上では階級関係なく同じ教室で授業を受けているのですが、制服がないだけの理由で授業を受ける事が容易ではなかったり、教師からやり玉にあげられたりするシーンはいたたまれない気持ちになります。
しかし、バラモン階級である同級生のスボードは、おそらく最下層であるプレルナに対して教科書をくれたり優しく接してくれ、淡い恋心も描かれます。
また、スケートボードを通じて、子供たちは階級関係なく練習に明け暮れるシーンもあるので、大人達の方が階級や風習に縛られており、子供にも強制する事で悪循環が生まれています。
子供たちの演技がとても自然で素晴らしい
この作品に出演しているインドの子供たちは、もちろん主演のプレルナや、弟のアンクッシュなどは役者なのですが、めちゃくちゃ自然でジェシカが子供たちに絵を書いてあげるシーンなどは、皆目を輝かせていてとても自然なんですよね。
そういう子達が夢や希望を描く事すら考えた事がないというのですから、ほんとこの笑顔をいつまでも守ってあげたい気になります。
実際にこの作品の為にスケートパーク場を作る
本作でスケートパーク場を作るシーンがあるのですが、実際にラジャスタンで45日間かけて作られたもので、インドのスケートパーク場では最大規模になるそうで、撮影後は公共施設として村の人たちに利用されているそうです。
撮影後も、実際そこで暮らす子供たちの為にスケートボードの場所を提供したのはいいですよね。
これで、子供たちが夢や希望を描いて羽ばたいてくれれば、きっと社会にとっても良い事ですよね。
実際にプレルナのモデルとされたインドの女性プロスケーターがいる?
プレルナは、スケートボードを通じて夢や希望を抱き、自信をつけていくのですが、実際に同じインド出身で、女性プロスケートボーダ―で世界大会にも出場経験のあるスーパースターのAsha Gondさんという方が、本作のプロデューサー宛に
『これどう考えても私の話ですよね?』
と公開質問状を送っています。
Asha Gondさんはインド中部のヤンウォーという村で育ち、彼女が育った村もスケートパーク場がドイツのNPO団体の手によって作られたのですが、彼女も最初にスケートボードを始めたときは、近所の人たちからスケートボードは男の子のためのものだと言われ、両親からも結婚するように促されたそうです。
Asha Gondさんの生い立ちを見てみると、場所やストーリー等の細かい部分に変更は施されていますが、どう考えても少なくともインスパイアを受けたとしか言いようがありませんね。
プロデューサー自身は、最後のクライマックスに出演する機会を与えたそうですが、
Ashaさんは
『自分たちの物語なのであれば、しっかりと可視化されるべきだ』
と答えたそうです。
単純に映画の最後にちょろっと出演して終わりという事にはしたくなかったようで、出演は断ったそうです。
たしかにAshaさんの言い分はごもっともだと思いますので、
プロデューサーも完全なフィクションだと言い切らずに、もう少し実在する人物に対する敬意があっても良かったのではないかなと思います。
「スケーターガール」まとめ
いかがだったでしょうか。
実際にAsha Gondさんはスケートパーク場を作ってくれたおかげで、今やインドのトッププロスケーターでもあり、村で初めての海外旅行をした子供でもあるそうなので、きっかけ一つで世界に羽ばたく選手に成長する事ができましたし、本作品も昔から決まってるルールに縛られずに、チャレンジする事の大切さを教えてくれる作品なので、是非Netflixで視聴してみてくださいね。
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