今回はストックホルム症候群という症状の語源になった、スウェーデンの犯罪事件としては、テレビで生中継された最初の事例を描いた『ストックホルム・ケース』を解説します。
『ストックホルム・ケース』作品情報
主演のラース役を演じるイーサン・ホークは、離婚しましたが、大女優のユマ・サーマンの元夫で、『ガタカ』や『マグニフィセント・セブン』、最近では『テスラ』の二コラ・テスラ役を演じています。
人質のビアンカを演じるノオミ・ラパスは、スウェーデンの女優で、2009年公開の『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』でヒロインを演じた事で世界的に有名な女優となり、リドリー・スコット監督のSF映画『エイリアン』の前日譚の『プロメテウス』の主役等も務めております。
ラースの仲間のグンナー役を演じるマーク・ストロングは、『シャーロック・ホームズ』や『キングスマン』シリーズ、『1917』等の有名映画に出演している名脇役の俳優さんです。
『ストックホルム・ケース』あらすじ
何をやっても上手くいかない悪党のラース(イーサン・ホーク)は、アメリカに逃れる為に、アメリカ人に変装して逃亡資金を得るため、ストックホルムの銀行に単独で押し入る。
ラースは幼い娘を持つビアンカ(ノオミ・ラパス)を含む3人を人質に取り、刑務所に収監されている仲間のグンナー(マーク・ストロング)を刑務所から釈放させる事を警察に要求する。
ラースはグンナーを釈放させる事に成功し、次に人質と交換を条件に資金と逃走用の車を要求し、グンナーと共に逃走する計画だったが、警察が彼らを銀行の中に封じ込める作戦に出たことで、現場にはメディアが押し寄せ、事態は長期戦となっていく。
そんな中、ビアンカたちはラースとグンナーに連帯感や好意を抱く不思議な共感が芽生え始めていく・・・
『ストックホルム・ケース』みどころは?
まず、本作はストックホルム症候群というあまり聞きなれない症状の語源となった事件を題材にした作品ですので、ストックホルム症候群とはどんな症状の事を指すのか解説していきます。
人質が犯人に協力したり、好意を抱くなんてありえない!って思われる方もいるかと思いますが、少し近い感覚で『警察24時』のような正義の味方の警察にフォーカスが当たっていれば、当然視聴者は犯罪者に味方をするという事はないと思います。
しかし、いわゆるネズミ捕りと言われるスピード違反の取り締まりをしていてそれに捕まってしまった場合に、
『こんな見晴らしのいい所で点数稼ぎの為に取り締まるよりもっとやるべき事があるでしょ!』
みたいな話って聞いた事はありませんか?
当然速度違反をした側が圧倒的に悪い事は明白なのですが、相手に同情してしまう場合もわからなくもないですよね?
それの究極版がストックホルム症候群であり、犯罪者に優しくされたり、犯罪の動機が被害者にとって同情してしまう内容であれば、こういった症状に陥ってしまう可能性があるという事です。
イーサン・ホークが憎めない犯人役を好演
被害者が犯罪者に協力してしまう内容なだけに、どうしても警察側が憎まれ役になってしまう部分は仕方がないと思うのですが、犯罪を起こしたラースが緩すぎて憎めないんですよね(笑)
性格は凄くキレやすいんですが、自分が犯罪に手を染めている事を人のせいにせず受け入れており、被害者の事を警察以上に気づかっている所を見ても、根っからのワルという訳ではない事が物語が進むにつれてわかってきます。
テンションの浮き沈みを見るとほんと子供みたいに思えてきます。
そんなお茶目で感情の浮き沈みが激しいイーサン・ホークの演技に注目です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
銀行強盗するけど凄い緩い時間が流れるこの作品。
これを観れば間違いなくラースが無事に逃げ切ってくれる事を祈ってしまう事間違いなしです!
まさにその瞬間我々は『ストックホルム症候群』に陥ったと言えるでしょう。
この作品を観たあとに併せて観て欲しいのが個人的伏線回収ベストとも言える『タイム・トゥ・ラン』 というモーガン・ディーン・フリーマンとロバート・デ・ニーロによる作品です。
よければこちらの記事も書いてますので、ご覧ください。
個人的ベストオブ伏線回収映画作品『タイム・トゥ・ラン』を解説
以上最後まで見て頂き、ありがとうございました!
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